猫が大好きなマタタビ。その匂いを嗅いだ猫は体をこすりつけるような特異な反応を示すが、マタタビには猫を陶酔させるだけではなく、蚊を遠ざける効果もあった――。岩手大などの研究グループがこんな研究成果を発表した。新たな虫よけ剤の開発に活用できる可能性があるという。猫がマタタビに示す反応の理由は判明しておらず、研究者は「長年の謎に対する重要な解答」としている。

<「猫にマタタビ」の謎 研究のため朝夕ご機嫌取り>

岩手大の宮崎雅雄教授と名古屋大の西川俊夫教授らの共同研究グループが米科学誌「サイエンスアドバンシズ」に発表した。マタタビにはネペタラクトールという物質が含まれ、マタタビを嗅いだ猫に体をこすりつけたり転がったりする行動を起こさせるという。研究グループは、この物質に蚊を遠ざける効果があることを解明した。蚊は寄生虫などを媒介するが、ネペタラクトールを体に塗った猫に止まる蚊の数は、塗らない猫の半分程度だった。

猫がマタタビに特異な反応を示す生物学的な意義は未解明だったという。今回の研究で猫がマタタビに反応すると、幸せを感じた時に脳内で働く物質の血中濃度が上がることも初めて確認した。宮崎教授は「ヒョウなどネコ科の動物だけに現れる反応。虫が多い茂みに隠れて狩りをするという習性が影響しているのではないか」と推測している。【安藤いく子】